コラージュで思い巡らそう!

メンタルヘルスのためのコラージュ。モゴローと一緒に楽しみましょう。

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 新しい雑誌を手に入れたのでコラージュしてみた。
 いつの頃からか、「窓」とか「開いたドア」とかが好きだ。景色全部が見えるのではなく部分的に見える…みたいな感じが好きなのだ。お、ちょうどドアの写真があるじゃないか。これにしよう。階段を昇った部屋には何があるのだろう。「受胎告知」だ。なのだが、この有名な絵より、それを見ている人生後半戦の婦人の方が目に入った。私より先にこの部屋に入り、この絵を見て、そしてまた私より先に次の部屋に行くのだろう。彼女は何を思ってこの絵を見ているのだろうか。私の後ろにも私の背を見ている人がいるような気がしてきた。
 今年に入ってから神戸改革派神学校へオルガンレッスンに通っている。神学校は尼崎より自然豊かだ。最近は鶯のきれいな声に包まれながら登校している。尼崎でも小鳥の声はするけれど我が家の周辺で鶯は聞かない。ということで、きれいな小鳥を貼ってみた。私は文字を貼ることは少ないのだが今日は貼ることに。記事を読み終えた雑誌ではなく、コラージュ用にゲットした雑誌を使うことが多い私にとって、写真だけを切り抜いてしまうと、後で「この景色どこ?この人誰?」みたいなことがけっこう起きる。今日はスペースもあるので、小鳥の名前と説明文も切り取らずにいよう。「記録は大事」だと思うことが最近多々あったことも影響している。この小鳥は都会でも見かけると書いてある、へー。
 列車、これも私が好きなテーマだ。どこへ行こうとしているのか。ちょうどカーブを曲がっているところだ。真っ直ぐ行くのではなく、方向を変えるカーブではスピードを落とす。あたり前だが、そうか、とも思う。方向を変える時にはスピードは落ちてもいい、と言うか、落とさないといけないのだ。今、私はスピードを落としているけれど、それも良しというわけだ。

 娘に見せると「キレイめやね」と言う。そうだね、わりとあっさりきれいな写真を選んだように思う。「孤独、ぽつんとしている感じがする」へー、そうかな。「絵を見てる人も一人だし、小鳥も一匹、列車の写真に人は写ってないし」「静けさを感じるね」確かに静かな感じはするね。「絵を見てる人と小鳥が似てる」え、どこが?「人も小鳥も見上げてるやん」。おお、なるほどと思う。
 人は生活で上を見ることはあまりない、多分。歩くのには下を見ることが必要だ。視能訓練士ネタだが、眼窩底骨折と言って、顔面打撲(殴られたり…)した時に、眼球がすっぽり入っている骨が折れることがある。その骨折部位に眼球を動かす筋肉がひっかっると正常に目を動かせなくなるために斜視になり、物が2個見える(複視)場合がある。物が2個見えると歩くことさえできなくなることも。その時、複視が上方向だけで正面や下方向は1個に見えるなら生活できるが、その逆だとかなりしんどい。「上」は正面から下に比べると「意識して見るところ」なのだろうか。何か降ってくるとか、何か聞こえるとか、そんなことで初めて見上げることが多い気がする。
 お気に入りの一枚になりそうだ。しばらく飾っておこう。
※台紙:A4画用紙