数年前、そこそこ雨の降っている日、傘を差さずに堂々と歩いている高校生の男子を見かけたことがある。傘を持っていなかったかな、そうであるなら普通は急いで歩くとか、軒下を歩くとかすると思うけれど、その子の姿を見て、「ああ、濡れたいのだね」と思った。勝手な想像だが、途中であきらめて濡れることにしたのではなく、多分、最初から濡れようと決めて歩き出したように感じた。そして、若いな、いいなぁと笑。
「雨の中の私」という描画テストがあって私は2回描いたことがある。1回目は意味とか解釈とか知らずに描いて、私は「雨宿りする私」になった。と言っても傘は持っているのです。傘は持っているけれど、強めの雨にしばらく雨宿りすることにした。ただ、止むまで待つつもりはない。どこかに行く用事があって出かけているので時間がないのだ。だとすれば、どのタイミングでまた雨の中に出るのか。それを計る必要がある。これ以上待っても降り方は変わらないなら覚悟して再び雨の中に出よう。雨宿りしているうちに傘以外にビニール袋があるのかタオルがあるのか鞄を見る。どのくらい濡れるのか。濡れたあとどうするのかを予測する。そんなイメージで描いた。2回目は意味や解釈を知ったうえなのでその作用が出そうに思えたが、意外に素直に描けた。2回目はけっこう濡れてましたねぇ。
私は自転車通勤をしているので雨の日はカッパです。行きは濡れたくない。でも、帰りは家に帰るだけなので濡れるのも良し。最近、そういうことがあって、途中でかなり濡れたとき、ああ、もう帰ったらすぐシャワーを浴びよう、そのあと温かいお茶を飲もう、と思った瞬間、濡れるのが楽しくもあり、そんな気がした。
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藤掛明先生から学んで、私の心に留まっている言葉を「藤掛先生語録」としてまとめ、1ヵ月間の日めくりカレンダーにしました。コラージュ、短歌や文章は私の連想に過ぎませんが楽しんでいただけるとうれしいです。
※写真は、AC素材とPixabay素材から使用しています。